障害年金を受けるためには、以下の「3つの要件」を満たす必要があります。

初診日要件
…はじめて医師の診断を受けた日の証明

保険料納付の要件
…『初診日』の前日において、保険料の納付済期間が一定以上ある

障害状態の該当要件
…障害の程度が年金法で定められた基準に該当している

このページでは①「初診日要件」についてご案内いたします。

②「保険料納付の要件」③「障害状態の該当要件」については
↓ をご確認ください。↓

初診日とは

初診日」とは、現在の障害状態にいたった病気やケガについて、
はじめて医師に診察をしてもらった日」のことです。

「医師」には歯科医師を含みますが、接骨院・整骨院などは含みません。
また、健康診断も含みません。

今、診療を受けている病院が「はじめてその傷病で診察を受けた病院」かもしれませんし、
「子供のころに」とか「何十年も前に」診療を受けた日が「初診日」になる方もいらっしゃいます。初診日は、人それぞれの状況・経緯によって違っているのです。

障害年金の受給申請においては、この「初診日」がいつであるのかの証明をする必要があります。

障害年金 受給のための3要件
①初診日要件

障害年金を受給申請するためには、
「初診日」を証明する必要があります。

「初診日」はなぜ重要なの?

初診日は以下の基準日となるため、
初診日を確定することが、障害年金受給に非常に重要となります。

初診日の「年齢」と、その時に「加入していた保険制度」によって
「障害基礎年金」か「障害厚生年金」か、が決まる

初診日に国民年金⇒ 障害基礎年金
初診日に厚生年金⇒ 障害厚生年金
初診日は20歳未満⇒ 障害基礎年金

※20歳未満で働いていて厚生年金に加入していた場合は
 厚生年金の加入期間が初診日なら⇒「障害厚生年金」

それまでの年金納付が条件を満たしているかどうかの判断
初診日「前日」時点で確認される

障害認定日は、初診日が起算日となります。
障害認定日は、初診日から1年6か月後以降となります)

初診日の考え方…自分の場合は?

初診日が、障害年金の受給申請に重要なことはわかったけれど…
「生まれつきの疾病の場合は?」
「若いときに病気になり、40歳で急に重い症状が出たときは?」
…など
自分の場合の初診日はいつだろう?」と迷うことがあると思います。

日本年金機構が示している初診日の事例を見てみましょう。

  • 初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)
  • 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
  • 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
  • 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
  • じん肺症(じん肺結核を含む。)については、じん肺と診断された日
  • 障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
  • 先天性の知的障害(精神遅滞)出生日
  • 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
  • 先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日

このように、疾病の種類や病状・状態変化の経緯など、様々な要因によって初診日は変わります。

最初に受けた診療で「病名がわからない」場合や、
最初の診療で「違う病名」を告げられたが、その後に、その違う病気を原因とする別の病名で障害状態になった(病気に因果関係がある)
…などの場合は、最初に受けた診療日が「初診日」になります。

たとえば、20代で腎臓の病気で通院していて、30代で糖尿病になった場合。
初診日は、20代に通院していた時の最初の診察の日と考えるかもしれませんが、
さらに10代にも一度腎臓での治療を受けていたなら、そこまで遡った日が初診日となります。
このケースでは、たとえ、20代で年金に加入していなかったり、全く払っていなかったりしても、10代のときが初診日となりますので、障害基礎年金の受給が受けられます。

★因果相当性について

「最初の診断での病名」と、「現在障害状態を引き起こしている病名」が違う場合、そこに「因果相当性(前の病気で、現在の病気が起こっていると認められる関係性)があれば、同一の病気とみなされ、初診日は最初の診断日となります。

ではどのような場合に因果相当性が認められるのでしょうか?

因果相当性が認められる例

最初の病名現在の病名
糖尿病性網膜症
糖尿病性腎症
糖尿病性壊疽

糖尿病
糸球体腎炎(ネフローゼを含む)
多発性のう胞腎
慢性腎炎

慢性腎不全
肝炎肝硬変
結核の化学療法
による副作用
聴力障害
手術等による輸血肝炎
ステロイドの投薬大腿骨頭無腐性壊死
事故・脳血管疾患精神障害
肺疾患での手術呼吸不全

このように、最初の病名と現在の病名が違う場合でも、因果相当性があると認められるときは、
最初の病気ではじめて受診した日が「初診日」となります。

上記のケース以外でも「因果相当性」が認められて、初診日が変わり、障害厚生年金支給になるなどで、年金額が有利になる場合があります。


このように、疾病の種類や病状の経緯などによって、
「初診日がわかりにくい」ケースはたくさんありますので、
「自分の場合は障害年金が受けられないだろう」と自分で決め込んでしまわず、
まずは、障害年金申請のプロにご相談してください。

初診日の証明

障害年金の受給を申請するためには「初診日」を証明しなければなりません。

最初に診察を受けた病院・クリニック等が「廃業」している、「カルテが残っていない」などのケースも多々あります。

そんな場合に、初診日を証明するための流れを確認してください。

障害年金の「初診日」証明の流れ

障害年金の「初診日」証明の流れ

※注)相当以前の場合は、関連資料の提出が必要となります。

障害年金の請求では、初診日がいつなのか「客観的な証明」が必要となり、
申請書に、初診日を明らかにする書類(受診状況等証明書などの医療機関の証明)の添付が必要となります。

しかし、医師法でカルテの保存期間が5年、と定められているため、5年前以前の場合は、
カルテが存在しないことがあります。

そうした場合は、2番目以降に受診した病院で、カルテに初診の時期・病院名などが書かれていれば(本人が話した内容が記録として残っている)、それが初診日の証明になります。

さらにそれも難しい場合には、「第三者による証明」も認められるようになっています。

初診の病院にカルテが「ある」場合

初診の病院にカルテがあれば、それに基づいて「受診状況等証明書」を書いてもらえば、それで障害年金申請が可能になります。

最初に診察を受けた病院で、事務職の方に「カルテの保存期間は5年ですので、カルテはありません」と言われた場合でも、実は、別の保管場所にカルテが存在してある、ということもあります。
また、カルテはなくても、受診者の氏名や受診日などの記録が残っている場合があり、その記録を基に証明書に記入してもらうことで、初診日の証明として有効となる可能性があります。
かんたんにあきらめずに、「障害年金受給のためにどうしても必要」であることを伝え、
病院に最大限の対応をしてもらうようにしましょう。

初診の病院にカルテが「ない」場合

初診の病院にカルテが「ない」場合は、その次に(2番目に)受診した病院で「受診状況等証明書」を書いてもらい、
1番目の病院の「紹介状」があればそれを添付します。(⇒申請が可能になります)
または、2番目の病院でのカルテに「初診日に関する記録」が書かれていれば、それを基に証明書を書いてもらいます。(⇒申請が可能になります)

2番目以降の病院で「初診日が証明できない」場合

2番目以降の病院で、紹介状などによる初診日の証明ができない場合は、
「受診状況等証明書を添付できない申立書」を書き
+「参考資料」(「第三者証明」も含まれます)を添付して申請することになります。

例えば、4番目の病院にカルテがある場合は、以下の書類で申請することになります。

  • 受診状況等証明書(4番目の病院に書いてもらう)
  • 受診状況等証明書を添付できない申立書(自分で書く。1~3番目の病院分)
  • 参考資料

「参考資料」は、以下のような資料をできるだけ多く添付することで、初診日が特定できたり、初診日の前後の日付を確認できたりします。

《参考資料の例》

  • 身体障害者手帳・療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
  • 交通事故証明書
  • 労災の事故証明書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
  • 健康保険の給付記録(健康保険組合や健康保険協会等)
  • 次の受診医療機関への紹介状
  • 第三者証明
  • 電子カルテ等の記録(氏名、日付、傷病名、診療科等が確認されたもの)
  • お薬手帳、糖尿病手帳、領収書、診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)
  • その他(例えば、交通事故による請求で事故証明が取得できない場合、事故のことが掲載されている新聞記事を添付するなど。)

★第三者証明について

病院等で初診日の証明ができない場合、「第三者証明」によって、初診日の確認が広く認められるようになっています。

複数の第三者証明書により確認します。

三親等以内の親族は、第三者証明書ができません

三親等以内とは、親・子・兄弟・孫・祖父母はもちろん、曽祖父母・曽孫・甥姪から姻族である配偶者の親・子・兄弟・孫・祖父母・曽祖父母・曽孫・甥姪まで含まれます。

第三者が請求者の受診状況を

  • 直接見て認識していた場合
  • 請求者やその家族から聞いて知った場合(伝聞

があります。

伝聞の場合は、請求時からおおむね5年以上前に聞いていたことが必要。


第三者が医療従事者
また、第三者が「初診日頃の受診状況を直接把握できる立場の医療従事者」である場合は、この第三者の証明のみで初診日が認められます

20歳以降の初診日の場合…「第三者証明」+「参考資料」
20歳以降に初診日がある場合は、「第三者証明」だけでは初診日を認めることができないため、診察券や入院記録などの客観性が認められる他の「参考資料」があわせて必要となります。

初診日が20歳未満…「第三者証明」のみ
初診日が20歳未満の場合、第三者証明が2枚以上出され、受診の様子が具体的に書かれている場合は、参考資料は必要ありません。

区切り線

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

障害年金の申請において「初診日」の証明は、非常に重要な要素となります。

ただ、「自分の場合、初診日はいつになるになるのだろう?」
「病院をいくつも変わっているので、初診日の証明ができない…」
など、迷ったり、悩んだりすることも多いかと思います。

ケースによって、提出しなければならない書類も変わりますし、客観的に判定できる情報を書類化することもとても労力がかかります。

障害年金の受給申請は、プロである社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

「障害年金・福祉相談センター」では、一人一人の状況に合わせた申請代行を、誠心誠意、真心を込めて進めております。

ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。

まずはお気軽にご相談ください。

障害年金・
福祉相談センター

社労士事務所 Labor Partner

東京都豊島区南池袋1-21-5
第7野萩ビルB1F

TEL

障害年金・福祉相談センター