就労と障害年金
就労と障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
この「仕事などが制限される」という部分を「働いているということは、仕事が制限されていないから障害年金を受給できない」と思われている方もいらっしゃいます。
しかし、就労していることは審査に影響はありますが、
日常生活や就労状況から判断して、「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった」と判断された場合は障害年金を受給できる場合もあります。

ですが、傷病の種類によっては、就労の有無が審査結果に大きく影響を与える場合があるのは事実です。
よって働きながら障害年金を申請する際には、いくつか注意点を押さえる必要があります。
働きながら障害年金受給している人の割合
令和5年(2023年)6月23日の第5回社会保障審議会年金部会の資料「障害年金制度」によると、
2019年では障害年金を受給されている方の中で、
身体障害48.0%、知的障害58.6%、精神障害34.8%
の方が就労しながら障害年金を受給されているというデータになっています。
身体障害の方は約2人に1人、知的障害の方は2人に1人以上、精神障害の方は3人に1人が働きながら障害年金を受給されています。
| - | 身体障害 | 知的障害 | 精神障害 |
| 障害厚生年金1級 | 24.7% | - | - |
| 障害厚生年金2級 | 50.9% | - | 28.9% |
| 障害厚生年金3級 | 73.5% | - | 4.7% |
| 障害基礎年金1級 | 39.1% | 32.4% | 17.2% |
| 障害基礎年金2級 | 51.4% | 75.3% | 36.4% |
| 全体 | 48.0% | 58.6% | 34.8% |
※第5回社会保障審議会年金部会の資料「障害年金制度」より作成
就労が審査に影響のない傷病
障害年金の等級は障害の種類と程度によって決められますが、特定の傷病に対して原則的に設定されている場合があります。
以下は、障害年金の等級が決まっている主な傷病の例です。
- 人工透析:2級
- 人工関節:3級
- 心臓移植や人工心臓:1級
- 人工弁、心臓ペースメーカー、人工肛門:3級
等級が決まっているので働いていることは審査に影響はありません。
また、視力や聴覚、手足の障害など、検査結果の数値で障害の程度が測れる傷病についても、障害等級が決まっています。
客観的な検査数値で審査されますので、働いていることは審査に影響はありません。
障害等級1級 | ●両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ●両耳のレベルが100デシベル以上のもの ●両上肢の全ての指を欠くもの ●両下肢の足関節以上で欠くもの |
障害等級2級 | ●両眼の視力ががそれぞれ0.07以下のもの ●両耳のレベルが90デシベル以上のもの ●一上肢の全ての指を欠くもの ●一下肢の足関節以上で欠くもの ●人工透析療法施行中のもの |
障害等級3級 | ●人工弁、ベースメーカー、ICDを装着したもの ●一上肢の3大関節中一関節以上に、 人口骨頭・人工関節を挿入置換したもの ●一下肢の3大関節中一関節以上に、 人口骨頭・人工関節を挿入置換したもの |
働きながら年金がもらえる場合
障害年金の認定基準に直接記載されているわけではありません。
ただし、働いているという事は「日常生活に著しい制限はないのでは」「労働が著しい制限を受けていないのでは」と判断される可能性があります。
働いている場合は、どのような労働環境で、どのような仕事をしているかが審査のポイントになります。
【受給の可能性がある方】
会社から特別な配慮を受けていることで、なんとか働けているという方は
働きながら障害年金を受給できる可能性があります。
たとえば、以下のような場合は「特別な配慮」と認められる可能性があります。
①通常の勤務時間より短い時間しか働けない。
②特別に柔軟な勤務形態を認められている。
③本来の業務内容や責任範囲が軽減されている。
④簡単な業務に配置換えされている。
⑤通常の休憩時間よりも長い休憩時間をもらっている。
⑥休憩回数を増やして対応してもらっている。
⑦障害を補うための特別な器具や設備(例えば、昇降デスク、音声認識ソフト、拡大読書器など)を会社が提供している。
⑧業務遂行のために会社が介助者を配置している。
⑨休職している。
⑩復職支援プログラムを提供されている。
【病気の影響で日常生活に困っている方】
頑張って会社に行けても、以下のように病気の影響で日常生活に制限が出ているという方も働きながら障害年金を受給できる可能性があります。
①帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう
②休日は家事も一切できない

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
「働いているから障害年金は難しいかも…」
「病気が治らず、日常生活に支障が出ているけれど…」
など、自分のケースで障害年金受給が可能かどうかわからないことも多いかもしれません。
障害年金は、病気やケガで、日常生活や働くことに支障が出る状態のときに、その人らしい生き方をサポートしてくれる大切な制度です。
ご自分の判断で「無理だろう」とあきらめてしまう前に
ぜひ一度、社労士にご相談してみてください。
「障害年金・福祉相談センター」では、一人一人の状況に合わせた申請代行を、誠心誠意、真心を込めて進めておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

